●●を目指すなら大学なんて行かないで○○しろ!
大学をやめて○○した方がいい!
最近Twitterを賑わせている議論。当初はじーっと見ていたんですが、ちょっと参戦しました。
理由は簡単で、
大学好きすぎて大学院まで行った僕からすると、大学は辞めるべきではないし、大学を最大限に利用していろんなことをすべきだと思う。
— 文系院卒のToh (@Toh_log26) 2018年9月25日
いろいろ利用しまくれば割とコスパいいところだと思います。
学部を卒業してそのまま大学院に進学した僕としては、大学についてちょっと思うところがあったのです。
・大学進学が当たり前だからこそ
前提として、「大学なんて行かなくていい」という議論を聞くたびに(学部生の頃から聞いてました)、
大学へ行くことが「当たり前」になっているから出てくるんだね
と感じてきました。
2018年の大学進学率(短大含む)、どれくらいになっているか知ってますか?
60%近くあります。
高校を卒業した過半数の人が、高等教育機関に進学するわけです。
ちなみに日本だけが「大学進学を当たり前に思っている」のではないです。
2012年までの資料でちょっと古いんですが、日本なんて進学率は高くないです。
先進国のなかでは大学進学率がむしろ低いくらい。
(学費の問題も絡んでくるのですが、今日は言及しません)
余談ですが、Twitterみてると「日本だけが〜」っての多いですよね。
比較すらしてないのに。
だいたい10年前(2008年頃)、大学進学率が50%を超えました。
日本において、大学進学が多数派になってまだ10年です。
僕が大学進学した頃はまだマイノリティだったんだなぁ。。
・若者を取り合う壮絶なバトル
日本の話に戻ります。
2017年でいうと、63万人が大学へ入学しました。
63万人ですよ。すごい規模の「お客様」なわけです。
あえてお客様といいましょうか。
「大学やめて○○しろ」論で感じるのは、そこはかとないビジネス感です。
もっと気になるのは、「大学行かずにサロン入れ」って人には、大学に払う金をこっちに回しなよ〜というのが見える。プロである以上、やっぱり商売なんでしょうね。
— 文系院卒のToh (@Toh_log26) 2018年9月25日
大学に払う金があったら、うちらが関係するサービスを使ったほうがいいよ!
たくさんの「一流」を紹介するよ!
どうやったら儲けることができるのか、(有料で)教えるよ!
あくまでもビジネスな気がします。
大学に学費として支払うか、情報の対価として「あちら側」に支払うかの違い。
・大学は役に立つのか?
もう一つ、この種の議論って「大学に行っても役に立たない」という前提があるのでは?
よく聞くのが、「大学で勉強しても会社では何の役にも立たない」
とくに(老人の)経営者に多い。笑っちゃいます。
大学で勉強しなかった人が何を言ってる
大学を否定的にみてる人は、大学時代に自分に合った勉強をしてないか、そもそも昔の(放置プレイの)大学しか経験してない人が多い気がするの。今の大学はすごいよー。サービス精神の塊だよ。利用しない手はないよ。
— 文系院卒のToh (@Toh_log26) 2018年9月25日
役に立つはずが無いんです。大学での勉強なんて。
大学で教わるのは、考え方です。常々言っているんですが、高等教育機関である大学では大切なことを2つ学びます。
大学で何を学んだのか聞かれて、「抽象的なこと」「歴史の流れ」と答えます。文系なので。大学でちゃんと勉強しないと、抽象的なことと歴史の流れがわからず「自分の経験」のみで物事を話すようになりまっせ。
— 文系院卒のToh (@Toh_log26) 2018年9月25日
抽象的な概念。普段生活しているだけではあまり考えないことだと思います。
「自由」って何だろうとか。「時間」って何?とか。
もう一つは歴史ですね。
「自由」ってどうやって生まれてきたの?
「時間」はどうやって把握されてきたの?
この2つが分かるから、目の前で起きていることが
- どの問題と類似していて、その根本的な原因は何か
- 歴史的に似たような問題、解決策はないか
という視点で分析できるんです。
これがないと、「自分が体験・経験したことがすべて!解決策は自分だけが知っている」
となるわけです。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」まさにこれ。
・ブログは知的生産である
自分の頭で考えた「何か」を、文字として入力し、文章を完成させる。
この意味で、ブログの記事は、新聞記事、書籍、学術論文と同じ性格なんです。
小学生の文章でよく取り上げられるのは、
「今日の天気は雨でした。寒かったです。」
「昨日の晩ご飯はカレーでした。おいしかったです」
勉強をしなくてもいいということは、文章はこんなもんでOKだと言っているのと同じです。
社会が高度化するとともに、子どもが「大人」になる期間はずっと長くなっています。
ちょっと難しいですか?
田中角栄・元内閣総理大臣は小学校卒(厳密には高等小学校)です。つまり、15歳で働いていたわけです。
この時代に生きた人なら、小学校が最終学歴というのは珍しくありません。
今はどうですか?
特に理系の専門職であれば、最短コースでも大学→修士→博士と9年間も大学に在籍することになります。
社会に出るのは27歳です(最短です)
ちょっと特殊なケースを紹介しましたが、
社会が複雑になっていくと、社会に出るまでに相応の「訓練」をしないといけないのです。
だから大学への進学率が高くなり、それが一般化するのです。
話を戻すと、ブログのウリはその文章です。
ただ文字にするだけなら、小学生でもできます。しかし、それでは読み物としてはあまりよろしくない。
ここで必要なのが、学術で得たものをベースとした文章です。
ブログに限れば、大学は文章作成能力のトレーニングをする場所です。
しかもいろんな先生から怒濤の如く情報が流される場所です。
今回は大学での「勉強」だけにポイントを絞りますが、たくさんの情報を処理することで、トレーニングをすることになります。
しかも客観的で、抽象的で、歴史的な、よくわからない話を、です。
「一流の人」の「経験談」は面白いと思います。
でもそれは学問にはなれないんです。抽象化できないし、歴史に位置づけることもできないから。
特にブログを書くなら、絶対に大学をやめるべきではないです。
ちなみに、大学はネタの宝庫でもあります(これはまた追々)
大学院まで行ったからか、「大学」をある程度客観的に見ることができるし、メリットデメリットも学部卒の方より分かると思う。今のところ、大学進学にはメリットの方が多い。文系の院進は個人的にオススメしたいけど、社会的にはオススメしないw
— 文系院卒のToh (@Toh_log26) 2018年9月25日
大学で学んだことをベースにして、記事を書きまくる!
これのどこが保険ですか?
ていうか保険なめてますか?15世紀からあるシステムを簡単に否定できます?
(ちょっと違う)
この記事は、たったひとつだけ、ある前提に立っています。
それは、
「大学では何でもいいから目的意識を持つ」こと。
なんでもいいですよ。
特定の業界に入りたいから1年生の頃からバイト、インターンシップで入り浸り、経営史(社史)や組織マネジメントを勉強するとか。
研究者になりたいから、1年の頃から学外の有名な先生の講義に潜りまくるとか。
何も考えずに進学した人も多いでしょうが、
そういう人はブログなんて一所懸命にやらないだろうし、
人不足の昨今、選ばなければどこだって就職できるでしょう。
勉強しましょう。できれば教育機関で。
以上、普通の人より何年も余計に学生をしていたTohでした。