2018年9月4日昼。ぼくは名古屋にいました。
午前中に仕事をしていたのです。みなさんもご存知の通り、名古屋では昼過ぎから暴風雨に見舞われました。
ぼくがこれまで体験した、おそらくもっとも強力な台風です。
ぼくは名古屋に出張する前から、4日に台風が直撃するであろうことは理解していました。
それはもちろん、天気予報のおかげです。
9月1日時点では、4日の15時つまり昼過ぎに、関西から東海にかけて直撃するだろうということがわかると思います。
そして9月2日に出された台風の予想進路がこちら。
前日(9月1日)の予想とは異なり、4日午前中の時点では東海には達しないというものでした。
1日の予想よりも2日の予想のほうが精度は高いでしょうから、これも昼頃に東海を直撃するだろうという予測を立てました。
ぼくの記憶の話になりますが、JR東海は台風直撃に備えて、以下のような運行本数を予定していました。
ちなみにこの「予定」は、名古屋に台風が直撃したあとでも、ぼくが名古屋駅を去る17時まで、ずっと電光掲示板に流れていましたし、駅構内のポスターにも貼ってあったものです。(これは重要です)
(ぼくが記憶しているJR東海の運行本数)
【上り】新大阪発13時台から
毎時「のぞみ」2本、「ひかり」2本、「こだま」2本
状況によっては運休その他になる可能性があります*1
そして当日、ぼくは一気に不安になりました。
JR西日本が、上りについて「広島発8時35分を最後に運転取りやめ」を予告してきたのです。
さいきん、JR西は、災害が起きそう→前もって運転見合わせの発表。というパターンが多くなってきました。
これを「タイムライン防災」といいます。
タイムライン防災とは、「事前対応計画」ともいい、
事前に被害が起きることを予想して対応する(JRの場合だと運休する)という考え方です。
タイムライン防災、みなさんはどう考えるでしょう?
仮に、明日出張が決まっているけど「明日は運休します」と出された場合、
「予定が狂った!ふざけるな!」となるかもしれません。
でも違うのです。ほんとうは逆になります。
「予定が狂った!来週にしよう!」になるのです。
「運転取りやめ」と最後まで言わないばかりに、動くかもしれないし動かないかもしれない新幹線を待って、明後日の予定が完全に狂うよりも、親切です。
このタイムライン防災も、今日のキーワードになります。
それでは、当日、ぼくは名古屋駅で何をしていたのか。
時系列で確認してみましょう*2
12:00
出張仕事が終わり、名古屋駅に到着したのがこの時間です。
出先でなにも食べなかったためひどく腹ペコでしたが、とにかく
「新大阪発13時から運行本数が激減or見合わせになる」
というのが記憶にあり、また実際にJR東海のHPでも確認していたため、急いで新幹線の切符を購入します。
買ったのは12時15分頃発の「のぞみ」東京行きです。
この日は「のぞみ」に乗りたくないとか、そんなこと言っている場合ではありませんでした。
無事に切符を購入して、券売機の上をみたら、表記が変わっていたんです。
え…?
あれ…?
まじかーーーー!!!
慌てたぼくは、駅の電光掲示板をみました。
そこには「運転見合わせ」ではなく「おくれています」の文字。
その下には横スクロールで、「運行本数を減らします」と書いてあります。
これ、残席表示と改札口の電光掲示板の情報が共有されていないな。
駅員さんに聞きます。
「電光掲示板では遅れが発生していると表示してあって、切符を購入しました。でも運休になっています。どちらですか?」
ぼくの質問からして、混乱しています。
ほんとうに混乱していました。とにかく、購入した切符をどうするのか、です。
駅員さんからは「今のところ、運転見合わせになっています。いつ運転再開するのかは未定です」と言われました。
おそらく運転再開しても列車番号がめちゃくちゃになっているため、指定席は(おそらく)あって無きが如し、自由席の争奪戦になると予想しました。
ぼくは指定席を予約していたためこれじゃ意味がないと判断。
急いで切符売り場(窓口)に行きます。
「この切符だと、運転再開したらどうなりますか?」
「列車番号が振り直されるので、席が空いていればおすわりいただけます」
そりゃそうでしょう。窓口氏を責めるのは筋違いです。
窓口さんが今もっている情報を教えてくれたことに感謝すべきです。
ぼくが考えたことは2つ
- とりあえず切符は払い戻す。運休になっている以上、手数料はかからないだろう。
- 平日なので17時までならホテルの予約は可能だろう。17時までは待つ!
- せっかくだから(17時まで)どうなるのかをつぶさに見てみよう
でした。ちょっと悪趣味ですね。でも、こういうトラブルがあったときに、
世界有数の乗客者数をほこるJR東海がどうやって対応するのか、興味があったのです。
17時まで5時間。勝負が始まります。
13:00
う、うま〜い
「JR東海の対応をしかとこの目に焼き付ける!」とは申したものの、
腹が減っては戦ができぬのも世の道理。
とにかく腹を満たす必要(これは本能です)があります。
というのはちょっと冗談めかして書きましたが。
もう一つ、この時はまだ情報を入手していませんでしたが、
「もしかして、台風だから飲食店の閉店時間が早くなるのでは?」
と思ったのです。
JR西日本がタイムライン防災で運休する場合、近接するデパートなども同時刻に閉店します。
この情報、「日曜天国」で入手しました。気になる方は聞いてみてね。
JR東海は未だ「運転見合わせ」だったので閉店時間が早まるとは確認できていないのですが、そもそも社員・アルバイトさんたちが帰宅できなくなる可能性がある。
夕方まで待っていたら、何も食せず絶食hey, yo!になるかもしれないな。
と直感しました。
なのであえて、小さいひつまぶしセット(3000近くする)を食したのです。あんなに小さいのが3000円(ぶつぶつ)
食べ終わってから、再び駅構内へ。
「運転見合わせ」に変更なし。
「運休」ではないことにも変わりなし。
そこから、
備忘録、昨日の名古屋駅 pic.twitter.com/vaubxEBCOA
— 文系院卒のToh (@Toh_log26) 2018年9月5日
こんな動画を撮影したりしてました。
この時思ったのは、
「改札口の近くに座り込む人が増えたな」ということです。
みなさん長期戦を覚悟していたんでしょうね。
だって、「もしかしたら動くかもしれない」んですから。
実際にこのときの放送では「もしかしたら動くかもしれない」と多くの人が思ったでしょうし、
ぼくも「17時まで待ってやる!」と思っていました。
JR西日本はとうの昔に運転取りやめしてましたから。
でもJR東海。動くだろうと(甘い)見通しをもっていました。
ぼくのこの判断は、批判されるべきものです。
「ほんとうは今すぐホテルに泊まりたい」とずっと思っていました。
「でも17時まで!」と言い聞かせていたんです。
14:00
重大なことを思い出しました。
以下は自分の準備不足を反省する内容です。
今回の出張は1泊2日の予定でした。
3日に名古屋入りして、4日の昼に帰京するというものです。
できるだけ荷物を軽くしたいという思いから、
1日目の夜に着ていた下着を捨てるつもりだったんです。
履き古した、ボロボロの下着です。
ぼくは旅行するときに「もうこれ使えないだろうな」という下着をもっていきます。
この原則通り、9月3日に宿泊した際、翌日は寝る用の下着を全て捨てていました。
もし今日(4日)もホテルを取るなら、寝るときの下着が無い!ということになります。ついでに朝の靴下も。
なのでとにかくユニクロかGUで新品のものを買わなければならなかったのです。
急いで名駅至近のGUへ向かいました。
ところが。
14時にて閉店しました。
という絶望の告知。
そうです。ほんとうに起きてしまいました。
確認したところ、ユニクロはもちろん、駅構内の飲食店もほとんどが14時閉店になっていたのです。
空いているのは駅の売店のみという状況。
幸いにしてお腹は膨れていたのですが、下着の購入は諦めました。
ここから1時間。
悪化する一方の天気、そして新しい情報が流れてきました。
「複数の駅で架線に付着物があるため停電があります。そのため運転再開は相当先になります」というアナウンス。
繰り返しますが、
「運転再開は相当先になります」とアナウンスがありました。
(ニュアンスは違うかもしれませんが、だいたい合っています)
つまり、
まだ運転取りやめ(運休)と決まったわけではないのです。
じゃあ待たなければならない。
もしかしたら今日中に帰宅できるかもしれないし。
(帰宅できる頃には東京も混乱していたかも、と今になってみれば思います)
少し長くなってしまったので、前後編に分けたいと思います。
続く。
↓後編です。