湯治を体験してみたい

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年度末が近くなると、現実から逃げたくなることが増えてきます。

なぜなのかといえば、年度末に近づくに従い、仕事の量が増えてくるからです。

いま、手帳を繰ってみたところ、毎年1月から2月頃きまって「あること」をしていることに気がつきました。

 

2018年冬(1月下旬)山梨県のとあるホテルに缶詰

2017年冬(2月下旬)長野県のコテージに缶詰

2016年冬(1月下旬)四国の民宿に缶詰

2015年冬(1月下旬)長野県のコテージに缶詰

 

溜まりにたまった仕事を片付けるため、いつもの環境を離れて「缶詰」をする、ということを不思議にも毎年繰り返しています。

世間ではそれを、ひとり合宿、というのだそうです。

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 外出の準備をする必要もなく、オフィスまでの移動もいらず、食事の心配も無用。

そして温泉に入りスッキリ、目の前には書類の山しかない、仕事以外できない環境。

さらに良いこともあります。

飲み会に誘ってくる迷惑なありがたい友人もいない、メールは「出先ですので」で先延ばしができる。

 

今年も、勝手に増えていく仕事に唖然としながら、ひとり合宿を実施しようと思っていたところ、とある温泉に行ってみたくなりました。

 

その名前は、下部温泉(しもべおんせん)。山梨県の身延にある温泉です。

大変地味な(失礼)温泉地でありますが、ある意味すごく有名な温泉なのだそうです。

宮脇俊三先生の「汽車との散歩」という本に次のように紹介されています。

 

  下部の湯はぬるいから長時間入っていられる、だから効くのだ、というなことは知っていた。しかし、入ってみると聞きしにまさる低温である。

 泉温は二八度だという。一般に風呂の適温は四二度〜四四度、人間の体温は三六・五度、プールは二〇度、ビールは七、八度、といったところであろうが、二八度という温泉は見当がつきかねる。たしか、チョコレートの軟化点が二八度であったと思うが、私はチョコレートではないし、こんな知識は下部では役に立たない、とにかく、体温より低い温度の風呂というのは妙なものである。外傷に効く名湯と喧伝されているから我慢して入るけれど、そうでなかったら、客が怒ってしまう。

 泉温28度の「温」泉というのにまず興味を持ったわけです。

もし私自身がチョコレートであったとしたら、溶けるか溶けないかのギリギリを楽しめる温泉であるということになります。よくわからない?私も。

  

 

宮脇先生の「下部温泉」エッセイは大変短く、しかし面白い内容なのでぜひ見ていただきたいのですが、1時間ほど入浴してなぜか体の芯まで温まる温泉、それが下部温泉なのです。

30度前後の温泉に入りたい、ただ、季節は真冬である。

下部温泉に関する記事をいくつか見てみましたが、だいたいは真夏に涼みにいくのが宜しい、冬は寒くて入っていられないから新源泉(こちらは熱い)をメインに入浴するのが良いでしょう。

だいたいこんな内容が多かったように思います。

 

それでも一旦灯が付いてしまったらなかなか消えないのが私の性格なのでありまして。

いろいろ考えを巡らせることになったわけです。

冬には向かない温泉、ということは、温泉地としては異例であると思われますが、冬はオフシーズンなのではあるまいか?

温泉宿へ泊まりに行こうとしている身で言うのも何だけども、一人旅をする身にとって、旅館での快適さはお客さんの人数に反比例すると考えています。

だいたい人見知りであるという私の関係していると思うのですが、一応建前としては仕事を片付けるために泊まるということになっています。

オフシーズンで静まった旅館でひとり、仕事に食事に温泉に睡眠というのは極上の環境ではありませんか。

ただし、旅館の方とのコミュニケーションが少し心配です。

 

下部温泉が良いと思う理由はもう少しありまして、「ほどほどに遠い」ということもあります。

鉄道で移動するならば、甲府まで特急、そして身延線に乗り換えて特急で40分。

最寄り駅で下車したならば、歩いて20分かタクシーもしくは旅館の方に迎えに来てもらう。

 

いっそのこと北海道の田舎にまで行きたくなるのですが、それでは「旅行」になってしまいます。

繰り返しますが、私は物見遊山的な旅行をするためではなくて、「出張」先で仕事を片付けたいのです。

ただ、普段の環境とは大きく変えたいのです。自分でもわがままな人間であると呆れます。

 

幸いにも、2月にはまとまった時間(ただし仕事を片付けなければならない)を取ることができそうなので、下部温泉にチャレンジしてみようと思います。